「ERA」「EMMA」「ALICE」は、体外受精や胚移植の結果に関わる可能性がある、子宮内膜の状態を調べる検査です。名前が似ていて混乱しがちですが、それぞれ調べる内容がまったく異なります。

この記事では3つの検査の違い・費用の目安・どんな人に向いているかを、わかりやすく解説します。

① 3つの検査のひと目でわかる違い

ERA
🕐 ERA
Endometrial Receptivity Analysis
(子宮内膜受容能検査)
子宮内膜が胚を受け入れやすい「着床の窓」のタイミングを特定する検査
技術料目安:約10〜15万円
EMMA
🦠 EMMA
Endometrial Microbiome Metagenomics Analysis
(子宮内細菌叢検査)
子宮内膜の細菌環境(マイクロバイオーム)を調べ、子宮内の細菌バランスを確認する検査
技術料目安:約5〜8万円
ALICE
🔍 ALICE
Analysis of Infectious Chronic Endometritis
(慢性子宮内膜炎検査)
慢性子宮内膜炎の原因となる細菌を検出する検査。炎症が疑われる場合、医師の判断で抗生剤治療が検討されることがあります
技術料目安:約5〜8万円
💡 EMMAとALICEは同時検査が一般的です。どちらも子宮内膜の細菌環境に関する検査で、同じ検体(生検)で同時に実施できます。ERAも同時採取できるクリニックが多く、3種類まとめて行われることもあります。

② ERA(子宮内膜受容能検査)とは

🕐 ERA
Endometrial Receptivity Analysis
  • 子宮内膜が受精卵(胚)を受け入れやすい状態になっている時間帯を「着床の窓(インプランテーション・ウィンドウ)」と呼ぶ
  • この窓は人によってタイミングが異なり、一般的な移植日がずれていると着床しにくくなる可能性がある
  • ERA検査で遺伝子発現パターンを解析し、その人固有の最適移植タイミングを特定する
  • 「反復着床不全(移植を複数回行っても着床しない)」の方に特に検討されることが多い

ERA検査で何がわかるか

検査結果は大きく3種類に分類されます。

Receptive(受容期)
一般的な移植タイミングで問題なし。そのまま移植に進む。
Pre-Receptive(前受容期)
着床の窓がまだ開いていない。移植タイミングを後ろにずらす。
Post-Receptive(後受容期)
着床の窓がすでに閉じている。移植タイミングを前にずらす。

③ EMMA(子宮内細菌叢検査)とは

🦠 EMMA
Endometrial Microbiome Metagenomics Analysis
  • 子宮内膜にはさまざまな細菌が存在しており、この細菌のバランスを「子宮内マイクロバイオーム」と呼ぶ
  • 研究では、子宮内の善玉菌(ラクトバチルス菌)が多い状態が着床率・妊娠継続率に関係する可能性が示されている
  • EMMAでラクトバチルス菌の割合を確認し、必要に応じてプロバイオティクス等で改善を図る
  • ALICEと同時採取で実施されることがほとんど

④ ALICE(慢性子宮内膜炎検査)とは

🔍 ALICE
Analysis of Infectious Chronic Endometritis
  • 慢性子宮内膜炎は、子宮内膜に持続的な炎症がある状態。自覚症状がほとんどなく、通常の検査では見逃されることがある
  • 不妊・反復着床不全・反復流産との関連が指摘されている
  • ALICEでは原因となる細菌(エンテロコッカス、腸内細菌など)をDNA解析で特定する
  • 炎症が疑われる場合、医師の判断で抗生剤治療が検討されることがあります。治療後に再検査を行い、状態を確認してから移植に進む場合があります

⑤ 3つの検査の比較表

項目 ERA EMMA ALICE
調べること 着床の窓のタイミング 子宮内の細菌バランス 慢性子宮内膜炎の有無
検査方法 子宮内膜生検(子宮内から少量の組織を採取)→ 遺伝子解析
同時採取 ERA単独 or
EMMA・ALICEと同時も可
ALICEと同時採取が一般的 EMMAと同時採取が一般的
結果の使い方 移植タイミングの調整 プロバイオティクス等で細菌環境を改善 医師の判断で治療後、状態を確認して移植へ
先進医療 ✅ 対応施設あり
(子宮内膜受容能検査1・2)
✅ 対応施設あり
(子宮内細菌叢検査1・2)
✅ EMMAと同じ検体で対応
技術料目安 約10〜15万円 約5〜8万円 約5〜8万円
(EMMA同時の場合)

※費用はクリニックによって異なります。先進医療対応施設では技術料のみ自費、その他は保険が適用されます。

⑥ どんな人に向いているか

✅ こんな方に検討されることが多い検査です
  • 胚の質に問題がないのに、移植を2回以上行っても着床しない(反復着床不全)
  • 原因がはっきりしない反復流産(2回以上の流産)
  • ERA:移植タイミングを最適化したい / 過去の移植周期を見直したい
  • EMMA・ALICE:子宮環境そのものを確認・改善してから移植に臨みたい
⚠️ 初めての移植から必ず受けるものではありません
ERA・EMMA・ALICEは、すべての方に最初から必要な検査ではありません。まずは保険診療の枠組みで移植を行い、結果を踏まえて医師と相談のうえ検討するケースが多いです。不必要に全検査を受けることが治療成績の向上につながるわけではないため、担当医に適応を確認してから判断することが重要です。

⑦ 検査の流れ(ERA単独の場合)

1
ホルモン投与で子宮内膜を準備

通常の凍結融解胚移植と同じスケジュールで、ホルモン補充により子宮内膜を整える。

2
子宮内膜生検(組織採取)

実際に移植を行う想定日に、子宮内膜の組織を少量採取する。胚は移植せず検査のみを行う周期。

3
遺伝子解析・結果返却

採取した組織を検査機関(スペインのIgenomix社など)に送付し、遺伝子発現を解析。結果が出るまで約2〜4週間。

4
結果に合わせた移植計画の調整

Receptiveであればそのまま次の周期で移植。Pre/Post-Receptiveの場合は投薬時間を調整し、再度移植の準備をする。

💡 検査周期と移植周期は別になります。ERA検査を行う周期は胚を使いません。そのため、検査と移植で最低2周期(約2ヶ月以上)必要になります。スケジュールに余裕をもって計画することが大切です。

⑧ 先進医療としての位置づけ・費用

ERA・EMMA・ALICEはいずれも厚労省の先進医療として認められており、届け出を行ったクリニックでは保険診療と組み合わせて受けることができます(技術料のみ自費)。

検査名 先進医療の名称 技術料目安 自治体助成
ERA 子宮内膜受容能検査1・2 約10〜15万円 対象の自治体あり
EMMA・ALICE 子宮内細菌叢検査1・2 約5〜8万円 対象の自治体あり
  • 先進医療対応施設では、採卵・移植などの基本治療は保険適用のまま、技術料分のみを自費で負担
  • 先進医療の届け出がないクリニックでは、自由診療(全額自費)として提供される場合がある
  • 自治体の助成金制度で先進医療技術料の一部が還付される場合がある(都道府県・市区町村によって異なる)
⚠️ クリニックによって先進医療の届け出状況は異なります
ERA・EMMA・ALICEに対応していても、先進医療として届け出をしていないクリニックでは自由診療扱いになります。受診前に「先進医療として実施しているか」を確認することをおすすめします。本サイトのERA先進医療対応クリニック検索で絞り込めます。

⑨ 注意点・限界

  • ERA・EMMA・ALICEは妊娠を保証するものではありません。着床に関わる要因は多岐にわたり、検査結果が改善されても必ずしも妊娠率が向上するとは言えません
  • ERA検査の結果は一定期間参考にされることがありますが、子宮内環境や治療方針が変わった場合は再検査が検討されることがあります
  • EMMA・ALICEで異常が見つかった場合、治療後に再検査を行ってから移植に進むため、移植までの期間が長くなる場合があります
  • 複数の検査を同時に受ける場合、費用が積み重なります。どの検査を受けるかは医師と十分に相談したうえで判断しましょう
  • 子宮内膜生検には、検査時に軽い痛みや出血が生じる場合があります

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✅ この記事のまとめ

  • ERA:着床の窓のタイミングを特定。移植日を最適化するための検査
  • EMMA:子宮内の細菌バランスを調べる。ラクトバチルス菌の割合を確認
  • ALICE:慢性子宮内膜炎の原因菌を検出。炎症が疑われる場合、医師の判断で抗生剤治療が検討されることがある
  • EMMAとALICEは同時採取が一般的。ERAも同時採取できるクリニックも多い
  • 反復着床不全・反復流産など、着床に繰り返し課題がある方に検討されることが多い
  • 先進医療として届け出たクリニックなら、技術料のみ自費で保険と組み合わせ可能
  • 妊娠を保証する検査ではない。担当医と相談のうえ適応を確認してから受けることが大切