2022年10月25日、私は初めて不妊治療クリニックの扉を開けた。きっかけは、コロナ禍の在宅勤務と、ようやく通った昇格試験だった。

「そろそろ次は、子どもかな」——その一言が、長い旅の始まりになった。

① 自己流でやってみた半年間

まずはインターネットで調べた。理系気質なので、何事も情報収集から入る。タイミング法というものを知り、排卵日に合わせて夫婦の時間をつくった。何ヶ月か続けたが、まったく妊娠しなかった。

そんな中、FacebookでかつてのクラスメートAさんの投稿を見た。

「不妊治療を経て、赤ちゃんが生まれました」

正直、驚いた。不妊治療って、芸能人がするものだと思っていた。理工系の職場にいると周りに女性が少なく、そういう話を聴く機会がほとんどなかった。でも友人の投稿でわかった——「不妊治療は、今やごく普通の選択肢のひとつ」なのだ、と。

② クリニックへ―3ヶ月半・17回の検査

クリニック選びは次の記事で詳しく書くが、結果としてOKAレディースクリニック(長野県)にお世話になることにした。初診から検査が終わるまで、約17回の通院・およそ3ヶ月半が必要だった。生理周期に合わせて進めるため、2周期分――およそ3ヶ月半――が必要になる。

  • 2022年10月:初診。人生はじめてのクリニック。
  • 2023年3月末:一通りの検査が終了。
  • 2023年5月・7月:人工授精を2回実施。いずれも妊娠に至らず。
  • 2023年8月:体外受精の説明会(オンライン)に参加。
  • 2023年夏:コロナ感染 → 心身ともに限界に。
  • 2023年11月:上司に休職を申請。
  • 2023年12月:社内で希望した部署へ異動。
  • 2024年1月:採卵(1回目)。
  • 2024年2月:休職開始。

③ 治療から遠のいた日々

体外受精の説明会に出たあと、すぐには決断できなかった。仕事は相変わらず忙しく、残業が続いていた。治療のことは頭にありながらも、クリニックへ行く気力も余裕も、少しずつ失っていった。(その後、社内で希望していた部署への異動も重なり、生活はさらにめまぐるしくなっていく。)

④ コロナにかかって、ガタが来た

2023年の夏、コロナにかかった。業務量は変わらないのに、思うように体が動かない。ミスが続くようになり、心も体もじわじわと削られていく感覚があった。

仕事と治療を両立できると思っていた。でも実際は、どちらも中途半端になっていた。それに気づいたのは、だいぶあとのことだった。

⑤ 会社の制度に背中を押された

そんなとき、会社に妊活を目的とした休暇・休職が取れる制度ができた。「逃げかもしれない」とも思った。でも年齢的にもギリギリだった。不妊治療の保険適用には年齢の上限がある。私にはあと少ししかなかった。

不妊治療の保険適用と年齢
体外受精・顕微授精などの保険適用は、治療開始時の女性の年齢が43歳未満が対象です。回数は、40歳未満は1子ごとに胚移植6回まで、40歳以上43歳未満は1子ごとに胚移植3回までと定められています。

2023年11月、上司に休職の申請をした。不妊治療連絡カードを提出した日のことは、今でも覚えている。

「逃げ」だと思っていた休職は、振り返れば、自分と治療に正面から向き合うための時間だった。仕事を抱えたまま走り続けていたら、たぶんどこかで止まれなかった。立ち止まる勇気をくれたのは、会社の制度と、年齢という現実だった。
これは一人の体験談です。治療の進み方・必要な通院回数・適した治療法は、年齢や体の状態によって人それぞれ大きく異なります。治療方針は必ず担当医とご相談ください。

これから妊活を考える方へ。情報を集めることも、相談することも、立ち止まることも、すべて前に進むための一歩です。自分に合ったクリニックを探したい方は、クリニック検索もご活用ください。

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