不妊治療を調べ始めると、まず出てくるのが「人工授精」「体外受精」という言葉です。名前は似ていますが、方法も体への負担も費用も大きく異なります。

この記事では、2つの違いを方法・対象・通院・費用・保険の観点から、わかりやすく整理します。

人工授精(AIH)とは

人工授精は、洗浄・濃縮した精子を、排卵のタイミングに合わせて子宮内に直接注入する方法です。受精から着床までは体の中で自然に進むのを待ちます。

  • 体内で受精が起こる点は自然妊娠に近い
  • 処置自体は短時間で、体への負担は比較的軽い
  • タイミング法で妊娠しなかった場合の次のステップとして選ばれることが多い

体外受精(IVF)とは

体外受精は、卵巣から卵子を取り出し(採卵)、体の外で精子と受精させ、育てた受精卵(胚)を子宮に戻す(胚移植)方法です。受精を体の外で行う点が大きな違いです。

  • 採卵のための注射・投薬や、採卵・胚移植の処置が必要
  • 通院回数・体への負担・費用は人工授精より大きい
  • 精子が少ない場合などは、1つの精子を直接卵子に注入する顕微授精(ICSI)が用いられることもある
体外受精のうち、卵子と精子を同じ容器に入れて自然に受精させる方法を「(一般)体外受精」、針で1つの精子を直接注入する方法を「顕微授精(ICSI)」と呼びます。どちらを行うかは、精子や卵子の状態をふまえて医師が判断します。

ひと目でわかる比較表

項目人工授精(AIH)体外受精(IVF)
受精の場所体内(主に卵管)体外(培養室)
主な流れ精子を子宮内に注入採卵 → 受精 → 胚移植
体への負担比較的軽い採卵・投薬などで負担は大きめ
通院回数の目安1周期2〜4回程度1周期で複数回(採卵前は連日のことも)
費用の目安
(保険適用後)
1回あたり
約5,000円〜3万円
1回あたり
約10万円〜30万円
(採卵〜移植)
主な対象タイミング法で妊娠しなかった、軽度の男性因子など人工授精で妊娠しなかった、卵管の問題、強い男性因子など
費用の相場(ざっくり)
人工授精:保険適用後で1回あたり約5,000円〜3万円程度
体外受精:保険適用後で1回あたり約10万円〜30万円程度(採卵〜培養〜移植まで)
自費(保険適用外)の体外受精:1回あたり約30万円〜60万円程度になることもあります
いずれも別途、薬代がかかります。

※あくまで一般的な目安です。実際の費用は、刺激法・薬の量・先進医療の有無・クリニックによって大きく異なります。正確な金額は受診先にご確認ください。

どう選ぶ?ステップアップの考え方

一般的には、体への負担や費用が軽い方法から段階的に進める「ステップアップ」という考え方があります。

タイミング法 → 人工授精 → 体外受精・顕微授精

ただし、年齢や検査結果によっては、早い段階から体外受精をすすめられることもあります。たとえば、卵管が詰まっている、精子の状態が大きく不足している、年齢的に時間の余裕が少ない、といった場合です。

どの治療から始めるか、いつステップアップするかは、年齢・検査結果・希望によって変わります。「人工授精を何回試すか」なども含め、治療方針は必ず担当医と相談して決めましょう。

保険適用について

2022年4月から、人工授精・体外受精・顕微授精は保険適用の対象になりました。

体外受精・顕微授精などの生殖補助医療の保険適用は、治療開始時の女性の年齢が43歳未満が対象です。胚移植の回数は、40歳未満は1子ごとに6回まで、40歳以上43歳未満は1子ごとに3回までと定められています。

検査や一般不妊治療(タイミング法・人工授精)にも時間がかかるため、体外受精まで見据えるなら、早めに受診して見通しを立てておくことが大切です。

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