不妊治療を始めるとき、多くの人がぶつかるのが「仕事と両立できるのか」という不安です。通院は急に決まることも多く、思った以上に時間も気力も使います。

この記事では、通院回数の目安、急な通院への備え、使える休暇・支援制度、そして職場への伝え方のコツを、無理なく続けるという視点で整理します。

なぜ両立が難しいと感じるのか

不妊治療がほかの通院と違うのは、スケジュールを自分で決められない点にあります。診察でホルモン値や卵胞の育ち具合を見て、「明日また来てください」と直前に通院日が決まることが少なくありません。

  • 通院日を前もって計画しづらい
  • 排卵や採卵のタイミングは体に合わせるしかない
  • 急な早退・遅刻・半休が増えがち
  • 精神的・体力的な負担も重なる

「計画的に休めない」ことこそが、両立の一番の壁になりやすいのです。

通院回数の目安

治療の段階によって通院回数は大きく変わります。あくまで一般的な目安ですが、見通しを立てる参考にしてください。

段階通院回数の目安
検査期間月5〜6回程度(2周期ほどかけて一通り)
タイミング法1周期あたり2〜3回程度
人工授精1周期あたり2〜4回程度
体外受精(採卵周期)月5〜6回程度(採卵前は連日になることも)
胚移植周期1周期あたり3〜5回程度
回数はあくまで目安で、体の状態や治療方針によって増減します。とくに採卵前は連日の通院になることもあり、直前まで日程が読めない点が、仕事との両立で一番の悩みになりやすいところです。

使える休暇・支援制度

近年は、不妊治療と仕事の両立を支える制度が少しずつ広がっています。自分の職場で使えるものがないか、確認してみましょう。

会社独自の制度

  • 不妊治療のための休暇・休職制度(導入する企業が増加中)
  • 時間単位の有給休暇、フレックスタイム、時差出勤
  • テレワーク・在宅勤務の活用

国の支援・ツール

  • 不妊治療連絡カード:主治医と職場の間で治療状況を伝えるための、厚生労働省が様式を示している書類
  • くるみんプラス(不妊治療と仕事の両立に取り組む企業の認定制度)など
💡 不妊治療連絡カードとは
通院に配慮が必要なことを職場に伝えるための、厚生労働省が作成・配布している公的な様式です。主治医に記入してもらい、勤務先の人事労務担当者に提出することで、休暇制度などの利用を相談しやすくなります。
不妊治療連絡カード(厚生労働省)の見本
不妊治療連絡カード(厚生労働省)
様式・記入例は厚生労働省の公式ページから無料でダウンロードできます(PDF)。
公式ページを見る ↗ PDFを見る ↗

職場への伝え方のコツ

「どこまで伝えるか」は人それぞれで、正解はありません。プライベートなことなので、無理にすべてを話す必要はありません。自分が働きやすくなる範囲で伝えるのがポイントです。

  • 全部は言わなくていい:「通院のため、急な休みが増えるかもしれない」と伝えるだけでも十分なことが多い
  • 伝える相手を絞る:直属の上司や人事など、調整に必要な人だけに
  • 制度とセットで相談:「こういう制度を使いたい」と具体的に話すと進めやすい
  • 連絡カードを活用:言葉で説明しづらいときは書類で伝える

そのまま使える伝え方の例文

切り出し方に迷ったら、次のような一言から始めると伝えやすくなります。

📝 上司・チームに伝えるとき
「不妊治療の通院があり、今後急な半休や遅刻をお願いする可能性があります。業務に支障が出ないよう、できるだけ早めに共有します。」
📝 詳しくは話したくないとき
「通院のため、しばらく急なお休みをいただくことがあるかもしれません。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。」

あくまで一例です。ご自身の働き方や職場の雰囲気に合わせて、言いやすい表現に調整してください。

伝えるかどうか、どこまで伝えるかは、あなたの自由です。職場の理解度や人間関係によっても変わります。「言わない」という選択も尊重されるべきものです。

無理なく続けるために

仕事も治療も大切ですが、どちらも頑張りすぎると、心身ともに消耗してしまいます。「両立」とは、すべてを完璧にこなすことではなく、自分が続けられるペースを見つけることだと考えてみてください。

  • 通いやすさ(立地・土日や夜間診療の有無)でクリニックを選ぶ
  • 使える制度は遠慮なく使う
  • つらいときは「休む」という選択も前向きな一歩
  • パートナーと負担・情報を分け合う

通院しやすさを重視してクリニックを探したい方は、土日・夜間診療で絞り込み検索もご活用ください。働きながら通いやすいクリニックを選ぶことは、両立の負担を減らすうえで大切です。