早発閉経や加齢により自分の卵子での妊娠が難しいと告げられたとき、選択肢に挙がるのが卵子提供です。ただし日本では国内実施が事実上できないため、「海外で採卵・受精 → 国内のバックアップクリニックで移植」という独特の形をとります。この記事では、渡航先ごとの費用相場・全体の流れ・国内対応クリニックを整理します。

日本の現状 — 国内実施は事実上不可

日本には卵子提供を正面から規律する法律がまだなく、日本産科婦人科学会(JSOG)の会告のもと、国内で卵子提供による体外受精を実施できる医療機関は極めて限られ、事実上不可能な状態が続いています(2026年時点)。国内でのあっせんも制度化されていません。

そのため実際に卵子提供を受ける日本人カップルの多くは、海外(台湾・アメリカなど)へ渡航して採卵・受精を行い、できた凍結胚を日本へ移送して国内のバックアップクリニックで移植する方法を選んでいます。

海外採卵×国内移植の全体像

  1. ① 国内バックアップクリニックで初診・カウンセリング — 適応の確認と全体設計
  2. ② エージェント選定・契約 — 患者がエージェントと直接契約(クリニックとは分離)
  3. ③ 海外でドナー卵子×夫の精子を受精・凍結胚に — 渡航は精子提出時など最小限で済むプランもある
  4. ④ 凍結胚を日本へ移送
  5. ⑤ 国内で融解胚移植 → 妊娠判定 → 妊婦健診 — 通い慣れた国内施設で完結
💡 この方式の最大のメリットは、移植以降の通院・妊娠管理をすべて日本語・国内で受けられること。渡航回数と滞在期間を最小化でき、仕事との両立もしやすくなります。詳しい仕組みは卵子提供・精子提供ガイドをご覧ください。

渡航先の費用比較(台湾・アメリカ)

🇹🇼 台湾🇺🇸 アメリカ
治療費の目安約280万〜310万円500万円以上(総額700万円超も多い)
追加でかかる費用渡航費・滞在費・行政申請費ドナー謝礼・エージェント費・弁護士費・渡航滞在費
制度「人工生殖法」により国がドナー・治療を管理州により制度が異なる。商業的ドナープログラムが発達
距離・時差約3〜4時間・時差1時間約10時間前後・時差大
傾向費用と近さから近年日本人の選択が増加ドナー情報の開示範囲が広い・選択肢が多い

費用面では台湾がアメリカの半分以下が目安です。ただしドナー情報の匿名性の度合い・待機期間・卵子の保証条件(個数保証の有無)はエージェントやプログラムによって大きく異なるため、金額だけで決めず複数エージェントの条件を比較してください。

費用相場は為替と現地制度の変更で動きます。上記は2026年時点の公開情報に基づく目安であり、実際の見積もりは必ずエージェント・クリニックから直接取得してください。

2020年12月に成立した生殖補助医療にかかる民法特例法により、第三者の卵子で子を出産した場合、法律上の母は「出産した女性」と明確に定められています。つまり卵子ドナーではなく、出産したあなたが戸籍上も母になります。

一方で、生まれた子がドナーの情報を知る「出自を知る権利」については、法整備がまだ道半ばです。詳しくは出自を知る権利とは?で解説しています。

国内バックアップクリニック(全国7施設)

公式サイトで卵子提供への対応を明示している国内医療機関は、当サイト調べで全国7施設です。長野県の佐久平エンゼルクリニック、京野アートクリニック(高輪・品川・仙台・盛岡)、越田クリニック(大阪)、セントマザー産婦人科医院(福岡)が該当します。

よくある質問

何歳まで受けられますか?

受け入れ側の年齢上限はエージェント・現地クリニック・国内バックアップクリニックがそれぞれ基準を持っています(50歳前後を目安とする例が多い)。妊娠・出産のリスクは年齢とともに上がるため、周産期管理を含めて医師とご相談ください。

成功率はどれくらいですか?

ドナーが若いため、自己卵子の高年齢帯での治療より着床率・出産率は一般に高くなります。ただし数字はプログラム・胚の状態・移植側の子宮環境で変わるため、エージェント提示の実績データの定義(何をもって成功とするか)を必ず確認してください。

バックアップクリニックとエージェントは同じ会社ですか?

いいえ。医療を担うクリニックと、ドナー選定・海外手配を担うエージェントは分離されているのが一般的で、契約もそれぞれ別に結びます。

出典・参考

※本記事は公開情報をもとにした一般的な解説であり、医療上・法律上の助言ではありません。費用・制度は変動します。治療の判断は必ず医師・専門家にご相談ください。